PM2時を過ぎたあたりから陣痛が本格的になってきた。何時間か前の痛みとはくらべものにならない痛みが襲ってくる。陣痛が来るたびに歯を食いしばって耐えた。しかし、痛みはどんどん増してきて、もう声を殺すことも不可能になってきた。
「世の中のおかあさんってみんなこの痛みを体験しているんだ・・・」
私には痛すぎて、死ぬんじゃないかと思うくらいだった。陣痛中ながら、もう最後かもしれないと思った。痛すぎて暴れた結果、点滴も取れてしまい手から出血。ナースコールを押そうにも、痛すぎてどこにナースコールがあるのかを探すこともできない。
「いたすぎるいたすぎるいたすぎるーーーーー」
隣からも私と同じ状況の人の叫び声が聞こえてくる。私はひとりじゃないと思ったら1パーセントだけ気持ちが楽になった気がした。しかし、そんなのもつかの間、すぐに次の陣痛の痛みがくる。手からは出血が続いてる。過呼吸もちの私は、途中で呼吸困難になり過呼吸の症状が出る。
そんな時、看護師さんが様子をみに来てくれた。すぐに紙袋を渡してくれて過呼吸の症状が少しでも和らぐようにしてくれた。あんまり和らいだ気はしないがこの状況で隣に人がいてくれるのは心強い。
陣痛の波は次第に間隔が狭くなり、もうなにがなんだか分からない状況になる。看護師さんがゴルフボールをおしりにあててくれたりしたが効果なし。次第に赤ちゃんが下に下がってきてる感覚が分かった。
「もう早く産んで楽になりたいー!」
と思ったが看護師さんは「まだいきんじゃダメよ」とストップさせる。この状況でどうやって我慢すればいいんだ。我慢でいているのかはわからなかったが、一応できる限り我慢はしてみた。
本当にお産って命がけだわ・・・
PM6時を過ぎるころ、やっと分娩室に移動。それも、車いすでなく歩いて移動という過酷条件。どうやって移動すればいいんだ、この状況で。私は病院を恨んだ・・。とりあえず、なんとか這いつくばって移動した。そしてやっと分娩台に乗ることが出来た。ここでやっとテレビでよく見る「ヒッヒッフー」をやることになる。
分娩台に乗ってからは早かった。結構赤ちゃんが下がってきていたので、すぐ出産の体制に入った。看護師さんが赤ちゃんをとりあげてくれる先生を呼びにいく。その間も産まれそうで我慢の限界だった。先生が到着後、何回かいきんですぐに赤ちゃんは出てきてくれた。
終わった後の解放感と達成感・・・。
そして赤ちゃんとご対面。
赤ちゃんは顔も体も真っ赤で一生懸命泣いていた。私も感極まってしまった。パートが終わった母親と仕事を早めに切り上げた父も駆けつけてくれ赤ちゃんの誕生を喜んでくれた。
こうして、壮絶な出産は終わり世界一可愛いわが子と対面出来た私。これからは育児生活が待っている。大変なこともたくさんあると思うが、この産まれた日の感動を忘れずに大切に大切に育てていこうと心に誓った。